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DXの手引

第一部小規模企業の
ITルール活用編

沖縄県 商工労働部ITイノベーション推進課

一般財団法人 沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)

これだけ知っていれば、御社でもDXができる!

● 業績が思うように伸びていない

● ウチの会社、何かムダが多いのではないか?

● DXはどこから、どのように始めて良いか?

と思ったら読む本

はじめに

(1)なぜDXが必要か?

DXとは一言で言えば、「デジタル技術の活用を前提とした経営変革」です。

沖縄県が、企業の皆様にDXを勧める理由は、企業の「稼ぐ力」を上げることにあります。

沖縄県の「新・沖縄21世紀ビジョン 基本計画」では、5つの将来像のうち、「希望と活力にあふれる豊かな島を目指して」において、「県民所得の着実な向上につながる企業の『稼ぐ力』の強化」を基本施策としています。

そのためには、中小企業等の経営基盤を強化して「稼ぐ力」を向上させ、全産業の労働生産性(仕事の価値)を上げることが必要です。DXは、そのための手段として期待されているのです。

将来像3 希望と活力にあふれる豊かな島を目指して

  • 1. 県民所得の着実な向上につながる企業の「稼ぐ力」の強化
  • ・ 全産業における労働生産性の向上
  • ・ 地域・産業間連携による「稼ぐ力」と域内自給率の向上
  • ・ 中小企業等の経営基盤の強化による「稼ぐ力」の向上

出典:「新・沖縄21世紀ビジョン 基本計画」パンフレット(沖縄県 企画部)

(2)沖縄の産業指標

沖縄の産業全体を見ると、従業者1人当たりの売上額、給与総額、労働生産性(仕事の価値)、いずれにおいても全国で低い順位にあります。

企業の「稼ぐ力」を強化し、県民所得を向上させるためにも、企業の経営力を強化することが必要です。

出典:「令和3年 経済センサス」 総務省・経済産業省
※「全国」は47 都道府県の中間値。
※労働生産性は、従業者1人当たりの純付加価値額。

下図は、小規模企業(従業者数10人未満)の従業者1人当たりの平均売上額を産業別に示したものです。

全国平均と比べて低い産業が多いことがわかります。

出典:「令和3年 経済センサス」 総務省・経済産業省

  • ※1 情報通信業(情報サービス業 等)
  • ※2 教育,学習支援業(その他の教育,学習支援業)
  • ※3 サービス業(政治・経済・文化団体,宗教を除く)
  • ※4 「全国平均」は47都道府県の中間値。

(3)本書の構成

本シリーズでは、次のように企業のDX 推進に向けて、段階的に解説します。

  • ● 第一部 小規模企業のITツール活用編(本書)…主にDXの初歩とITツール導入
  • ● 第二部 中小・中堅企業のDX取組編(続編)…企業経営を中心にDXの推進について深堀する
  • ● 第三部 中小・中堅企業の経営変革編(続編)…DXの目標である経営変革について説明

厳密に言えば、ITツール活用だけではDX とは言えません。しかし、本書では小規模企業の生産性向上を目的として、ITツール導入とDX の初歩的な説明について述べています。

(4)本書の対象

右のグラフは、沖縄県内に本社がある企業を従業者規模別に示したものです。

沖縄では、従業者規模20人未満の小規模企業が全体の約8割を占めています。

本書は、主にこれらの小規模企業を対象としています。

また、中小企業でもITツールの導入がまだであれば参考にしてください。

従業者規模別の企業分布

出典:「令和3年 経済センサス」 総務省・経済産業省

1.小規模企業の経営課題

(1)小規模企業の経営課題

小規模企業を取り巻く経営課題には、売上向上、経費削減、人材確保、能率向上など、様々なものがあります。

これらの経営課題の解決につながるのがDXであり、その前段としてITツール活用があります。

御社では、これらの課題で困っていませんか?会社は社長の思いどおりの成長を実現していますか?

小規模企業の経営課題の解決にはDX、ITツール活用が必要

(2)小規模企業のITツール導入事例

それでは、小規模企業のITツール導入事例を「小規模事業者等デジタル化支援事業」(沖縄県 商工労働部 中小企業支援課)から見てみましょう。ここには、小規模企業をはじめとする中小企業のITツール導入事例が、令和2年度から令和5年度まで全部で30事例収録されています。

そのうち、労働生産性(仕事の価値)が大幅アップした企業の例を見てみましょう。

藤原亮税理士事務所(専門サービス業)「社内業務をIT化して『人ができる仕事』を強化」※R02事例集
導入の背景 顧客数の増加に伴い、繰り返し作業やヒューマンエラーが課題となっていた。
導入の流れ IT専任社員の入社を機に、業務のオートメーション化を推進。
得られた効果 日常業務が効率化され、付加価値の高いサービス提供に注力できるようになった。
導入したツール winautomation
有限会社 リサイクルセンター沖縄(サービス業)「作業時間月40時間削減!」※R03事例集
導入の背景 ゴミ回収契約依頼から請求までの処理に時間がかかり、ミスも多かった。
導入の流れ Web版データベース「kintone」を導入し、業務を省力化。
得られた効果 業務時間が月70時間から30時間に短縮。顧客満足度も向上した。
導入したツール kintone
有限会社 沖縄クリーン工業(サービス業)「勤怠管理時間月3.5日減」※R03事例集
導入の背景 夜間業務や社員増加により、勤怠管理に多くの時間を要していた
導入の流れ QRコードで打刻可能な「就業大臣」を段階的に導入。
得られた効果 勤怠データ入力時間が大幅に短縮。移動時間の削減にもつながった。
導入したツール 就業大臣NXクラウド、大臣スマート打刻サービス
株式会社 崎浜商店(卸売業)「通信時間が30秒から5秒に短縮」※R03事例集
導入の背景 アナログ回線廃止に伴い、発注方法の変更が必要だった。
導入の流れ B2B forJX-Clientを導入し、インターネット回線での発注に移行。
得られた効果 通信時間が大幅に短縮され、発注作業が効率化。回線契約料も削減できた。
導入したツール EDI-Master B2B for JX-Client
株式会社 屋我ビーチセンター(生活関連サービス業)「売上集計の時間が約半分に」※R03事例集
導入の背景 手計算による受付業務でミスが多く、売上集計に時間がかかっていた。
導入の流れ POSレジとサイトコントローラーを導入し、在庫管理も効率化。
得られた効果 売上集計時間が半減し、販路拡大にも繋がった。
導入したツール スマレジ、ねっぱん!サイトコントローラー++
神谷荘(宿泊業)「外注費削減、新規事業のヒントにも」※R03事例集
導入の背景 コロナ禍での新規ビジネス展開のため、IT力が必要だった。
導入の流れ Adobe Creative Cloudを導入し、独学で使用方法を習得。
得られた効果 外注費がゼロになり、新たな収益源も生まれた。
導入したツール Adobe Creative Cloud
琉球ワークス株式会社(卸売業)「作業時間短縮とミス削減&売上アップ」※R04事例集
導入の背景 受注増加に伴い、伝票入力や確認作業の負担が増大していた。
導入の流れ 専門家の助言を受け、BtoBに特化した「Bcart」を導入。
得られた効果 作業時間が短縮され、ヒューマンエラーも減少。営業活動の時間が増加した。
導入したツール Bcart

いかがでしょうか?小規模事業者でもITツールの導入によって様々な成果を挙げていることがわかります。

では、令和2年度から令和5年度までの30事例を通じて共通する傾向を次のページで分析してみましょう。

(3)各事例に共通する傾向

各事例に共通する傾向は何でしょうか?それは、次の5つの点に見えてきます。

■ 全体的に共通する傾向

  • 業務効率化や時間削減に関する事例が多い
  • 情報共有や管理の改善につながっている事例が多い
  • 顧客サービスの向上や満足度アップを目指す事例もある

■ 導入の背景で共通する傾向

  • 手作業や紙ベースの業務による非効率さが課題となっている事例が多い
  • データ入力や管理に時間がかかり過ぎている問題が多い
  • 人為的ミスやヒューマンエラーの削減を目指す事例が多い
  • 顧客対応や予約管理の改善を目指す企業も複数ある
  • コロナ禍による業務変化への対応を背景とする事例もある

■ 導入の流れで共通する傾向

  • 多くの企業が専門家やIT事業者のアドバイスを受けている
  • ツール選定支援を利用する事例が非常に多い
  • 段階的な導入や試行期間を設ける事例が見られる
  • 従業員の意見を取り入れながら導入を進める事例がある
  • 既存の業務フローの見直しと並行して導入を進める事例がある

■ 得られた効果で共通する傾向

  • 業務時間の大幅な削減が最も顕著な効果として挙げられている
  • ヒューマンエラーや入力ミスの減少が多くの事例で報告されている
  • リアルタイムの情報共有や可視化が実現されたケースが多い
  • 顧客サービスの向上や満足度アップにつながった例が多い
  • 従業員の負担軽減や、より付加価値の高い業務への時間シフトが実現している
  • 新たな事業展開や販路拡大のきっかけになった事例もある

■ 導入したツールで共通する傾向(ツールのジャンル)

  • クラウド型の業務管理ツール(kintoneなど)が多く導入されている
  • POSシステムや在庫管理システムの導入が小売・卸売業で多い
  • 予約管理や顧客管理に特化したツールが宿泊業やサービス業で採用されている
  • RPA(業務自動化)ツールの導入例がいくつか見られる
  • 会計・給与管理ソフトの導入も複数ある
  • チャットボットや音声入力システムなど,AI技術を活用したツールも採用されている

以上を一言で表せば、「小規模・中小企業のITツール導入による業務革新と顧客価値向上の加速」と言えます。

  • ・ITツールの導入を通じて、従来の業務プロセスをデジタルに移行。
  • ・既存の業務プロセスを根本的に見直し、業務革新を実現(効率化、時間削減、ミス軽減など)。
  • ・内部業務の改善だけでなく、顧客サービスの向上や満足度アップにつながり、顧客価値向上を実現。
  • ・コロナ禍などの外部要因も影響し、ITツール導入が急速に進んでいる。

2.経営の向上を考えよう

(1)会社の能力向上を考える

企業経営では、会社の能力を向上させることが最も重要です。それには、次の4つを考える必要があります。

市場
  • ・お客様のニーズや欲求を深く理解し、競合他社の動向を常に把握することが重要です。
  • ・市場調査やお客様の行動分析を通じて、ビジネスチャンスや潜在的な脅威を見極めることが必要です。
商品・
サービス
  • ・顧客満足度を高めるため、自社の商品やサービスの品質向上に努めましょう。
  • ・お客様の期待を超える価値を提供することで、市場での競争優位性を確立できます。
資源
  • ・人材と原材料を効率的に活用することが鍵となります。
  • ・従業員のスキル向上や適材適所の人員配置、さらに仕入れの最適化などを通じて、生産性を高めることができます。
資金
  • ・健全な財務管理は企業の持続可能性に不可欠です。
  • ・適切な予算編成、投資判断、そしてキャッシュフロー管理を行うことで、企業の成長と安定性を確保できます。

これらの4つの要素をバランス良く管理し、継続的に改善することで、企業の総合的な能力向上につながります。また、これらの要素は相互に関連しているため、一体的に考えることが重要です。

会社の能力向上は、市場、商品・サービス、資源、資金の4つで考える!

(2)どうやって売上を上げるか考える

売上を上げることは、企業経営の第一歩であり、最も重要な課題です。

売上を上げるには、「お客様を増やす」か「客単価を上げる」しかありません。しかし、沖縄は他県のように県境を越えて市場を拡大することが難しい上に、観光産業など地域密着型のサービス業が多い特徴があります。

そのため、沖縄の市場で売上を増やすためには、お客様のニーズや動向を正確に把握し、チャンスを逃さないことが極めて重要です。

売上を上げるには「お客様を増やす」か「客単価を上げる」しかない!

このようなITツールが効果的です

MAツール
ECツール
SNSツール
メールマーケティングツール
受発注支援ツール
アンケートツール

(3)どうやって利益を残すか考える

経営では、売上を上げると同時に、利益を残すことを考えなければなりません。

利益を残すには「仕入を抑える」か「出費を抑える」しかありません。しかし、沖縄は離島県であるため材料・商材の輸送費がかかる上、昨今の物価高騰で仕入を安くすることは難しい状況です。

したがって、いかにムダを減らし、利益を確保するかが非常に重要になります。ITツールを活用することで、業務の効率化や経費削減が可能になります。

利益を残すには「仕入を抑える」か「出費を抑える」しかない!

このようなITツールが効果的です

プロジェクト管理ツール
シフト管理ツール
在庫管理ツール
POSレジ

(4)デスクワークのムダを考える

すべての業種に共通して見逃せないのが、デスクワークのムダです。

一見、一生懸命仕事をしているように見えても、実は膨大なムダが発生しているおそれがあるのです。

ITツールを活用することで、このようなデスクワークのムダを大幅に削減することができます。

すべての業種に共通して、見逃せないのがデスクワークのムダ!

このようなITツールが効果的です

経理・会計ソフト
経費精算ツール
勤怠管理ツール
オートメーションツール
リモート会議ツール
クラウドストレージツール
ワークフロー支援ツール
グループウェア
生成AIツール

3.小規模企業のITツール導入

(1)IT ツール導入の進め方

小規模企業がITを導入する際には、「4つの優先順位」と「4つのプロセス」が重要です。

■4つの優先順位

  • ① 売上の向上:お客様のニーズと行動を把握することに重点を置きます。
  • ② 利益の確保:商品の製造やサービス提供のムダを省き、業務効率化を図ります。
  • ③ デスクワークの効率化:デスクワークのムダを省き、本業に集中できるようにします。
  • ④ 経営判断の改善:意思決定をより速く、正確に行えるようにします。

これらの優先順位は、単に効率化を図るだけでなく、データを取得して経営判断に活かすことが必要です。

■4つのプロセス

  • ① 課題把握:税理士などの専門家のアドバイスを受けながら、貴社の経営上の課題を特定します。
  • ② 導入検討:IT 専門家からアドバイスを受け、適切なツールの選定について指導を受けます。
  • ③ 方針確定:経営者がイニシアチブを取り、社員の合意を得ます。社長の決意が大事です。
  • ④ 段階導入:コスト、従業員の習熟度、効果などを検証しながら、段階的にIT ツールを導入します。

優先順位を決めることで、会社にとって一番大切なことから順番に取り組めます。また、段階を踏んで少しずつITを導入していくことで、費用の負担や失敗のリスクを減らしながら、確実に会社の仕組みを改善できます。

基本は4つの優先順位と4つの導入プロセス!

(2)小規模企業と中堅企業のIT導入の違い

ITツールの導入にあたり、何から始めれば良いのか?どれくらいのコストや時間をかければ良いのか?という質問があります。また、事例を見ても「こんな規模の投資はとてもできない」という声も聞かれます。

それもそのはず、小規模企業と中堅企業のIT投資は異なります。小規模企業と中堅企業のIT導入の違いを見てみましょう。

小規模企業のIT導入は、現在ニーズ、既製、低予算、短期間!

項目 小規模企業(従業者規模20人未満) 中堅企業(従業者規模50人以上)
① 目的 小規模企業では、現在のニーズに焦点を当てた導入から始めましょう。 将来の成長を見据えた拡張が可能。
② 導入範囲 本書で紹介する基本的な業務管理ツールに焦点を当てて導入しましょう。 部門横断的な統合システムを導入することが多い。
③ 予算規模 限られた予算で低コストのソリューションを選ぶことから始めましょう。 もちろん、無料版から始めてみることもおすすめします。 より高額で包括的なITシステムに投資できる。
④ 導入プロセス 基本的な業務管理ツールに焦点を当てて導入しましょう。 計画から実装まで長期的なプロセスを要することが多い。
⑤ セキュリティ対策 基本的なセキュリティ対策を実施しましょう。 より高度なセキュリティシステムを導入する傾向がある。
⑥ データ活用 基本的なデータ管理や簡単な分析から始めましょう。 ビッグデータ分析やAIを活用した予測分析などを行うことがある。
⑦ IT専門スタッフ 小規模企業では、専任のIT担当者を持たないことが多いです。 そのため、新たに育成するか、外部専門家の力を借りる必要があります。 IT部門や専門スタッフを持っている。
⑧ カスタマイズ まずは、既製のソフトウェア(特にクラウドサービス)を使用することから始めましょう。 自社のニーズに合わせてカスタマイズできる。

事例を見て「できない!」と考える前に、企業の規模による違いを理解しましょう!

(3)全体イメージをつくる

ITツールの導入について、全体イメージを作ってみましょう。

企業経営の4つのポイントに、いままで紹介したITツールを当てはめると、下図のようになります。

市場、資源、資金、デスクワークの部分は汎用性が高いですが、商品・サービスの部分は、各業種や企業で千差万別であることがわかります。商品・サービスに直結するツールは、専門業者との相談となります。

(4)導入に向けた取組

■ 無料版を使ってみる

無料プランから有料プランへの移行は、以下の4つのポイントを考えます。

有料プランにするかどうかは、社内での必要性と事業の状況をよく見ながら、費用と効果のバランスを考えて決めましょう。外部専門家やサービス提供会社にも相談して、自社に合ったプランを選ぶことが大切です。

無料版を使ってみて、有料版に賢く移行!

■ 現場の不安や抵抗に対処する

ITツールの導入にあたり、現場では様々な不安や抵抗があることも考えられます。

新しいものを導入する際には、このような不安や抵抗は当然のことなので、このような現場の懸念を社長の声がけと外部専門家の指導で解決する必要があります。

現場の不安や抵抗には、社長のイニシアチブと専門家指導で対応!

■ セキュリティを考える

ITツール導入にはセキュリティ対策が必須です。セキュリティは「面倒なもの」ではなく、「ビジネスを守る投資」という意識を持つことが大切です。この観点から、ソフトウェアの選択や更新、データ管理、従業員教育などを一貫して行うことが重要です。IT ツール導入時に、専門家の支援・指導も受けましょう。

適切なセキュリティ対策は、単にリスクを軽減するだけでなく、顧客からの信頼向上や、ビジネスの継続性確保にもつながります。

ITツール導入にはセキュリティ対策が必須!

■ PDCAを回して評価する

ITツール導入のPDCAを回すことで、単にツールの効果を高めるだけでなく、組織の問題発見能力や解決力も向上し、会社全体の成長につながります。

特に重要なのは、社長自身が変革と挑戦を支援する姿勢を示すことです。PDCAサイクルの中で新しい試みや改善案が出た際、それを積極的に評価し、実行を後押しすることで、組織全体の革新的な文化が醸成されます。

ITツール導入のPDCA を回すことで経営も良くなる!

4.DXに向けて

(1)DXとは何か?

DXの根底にある考え方は、単なるIT化ではなく、企業経営の変革と進化です。

現在、多くの企業が直面している課題は、市場、事業(ビジネス)、技術、会社(組織)などの急激な変化への 対応です。DXはこれらの変化に柔軟かつ迅速に適応するための手段として重視されています。

また、DXは技術導入だけでなく組織文化や働き方の変革も含む、企業の経営変革の包括的な取組であることを理解する必要があります。

このような変化に対応できないと、企業は衰退し、最終的には淘汰されてしまいます。これに対して、変革を目指す企業は成長と発展が期待できるのです。

DXとは社会と市場の変化に対応した経営変革!

(2)DXの進め方

DXを成功させるためには、以下の4つのポイントが重要です.

これらのポイントを押さえながら、自社の状況に合わせてDXを進めていくことが大切です。

DXは一朝一夕には達成できません。長期的な視点を持ちつつ、短期的な成果も出しながら、継続的に取り組むことが成功への近道となります。

また、失敗を恐れず、試行錯誤を重ねながら学んでいく姿勢も重要です。

小規模企業であっても、これらのポイントを意識しながら、自社のペースでDXに取り組むことで、着実な変革と進化を遂げることができるでしょう。

DXは、社長の旗振り、全社的な実施体制、外部専門家の活用、段階的な取組

(3)社長が考えるべきこと

DXの推進にあたり、社長が考えるべき重要な点は以下の4つです。

  • ・自社の現状と課題の把握
  • ・経営ビジョンの明確化と共有
  • ・変革に対する柔軟な考え方と姿勢
  • ・リーダーシップと社員の巻き込み

社長自らが自社の状況や課題をよく知り、会社の目指す未来を決め、変革や挑戦に対してオープンな姿勢を持ち、旗を振って社員を巻き込んでいくことが、DX成功の鍵となります

DXは単なる技術導入ではなく、組織全体の変革を伴うため、トップの強力なリーダーシップが不可欠です。

社長自身が変革の象徴となり、組織全体を導くことの重要性が強調されています。

社長が考えることは次の4つ!

いかがでしょうか? DXを進めて経営の高度化を目指しましょう。

続編「第二部 中小・中堅企業のDX取組編(続編)」も、ぜひお読み下さい。

付録:各種支援・相談先・補助金一覧(2024年度版)

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