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沖縄ツーリスト株式会社は「地域に根ざし、世界にはばたく」をモットーとし、旅行事業を中心にレンタカーや保険販売などあらゆる角度で国内外の旅行客をサポートしてきた。

常に新しいことに挑戦し続けた沖縄ツーリスト株式会社・東 良和(ひがし よしかず)会長は「2020年は本来なら好景気で嬉しい悲鳴を上げる年になるはずだった」と語る。今後、インバウンドビジネスはどう変化するのか、旅行事業者はどのようにITを活用するべきか、気になることを聞いてみた。

旅行はアフターコロナでどう変化するか

沖縄ツーリスト株式会社はこれまで、旅行業の中でも特にインバウンドに対して先進的な取り組みを行ってきました。2020年は那覇空港の第二滑走路が完成し、またオリンピック・パラリンピックが開催される年でもありましたから、本来なら好景気で嬉しい悲鳴を上げる予定でした。

ですが実際は、昨年2019年から日韓関係の悪化により韓国人観光客がゼロになり、その後香港のデモにより香港からの観光客も減少、そして2020年には新型コロナウイルス感染拡大によって外国人観光客はもちろん国内観光客も激減しました。

おそらく来年にはインバウンド観光客も戻ってくるだろうと見立ててはおりますが、とはいえ日本の検査体制・コロナ対策の遅れは国際観光にとっては致命的です。数年前から予測していた第三国観光(インバウンドでもアウトバウンドでもなく、日本・沖縄を介さずに国外から国外にお客を誘致すること)の方が先に実現するかもしれません。

我が社としては国境を超える旅行・観光という点では、現在は縮小・撤退の判断を下していますが、旅という文化は決してなくならないと思っています。ただし今後沖縄県は、儲かるインバウンドビジネスを行わなければいけないのは明らかです。新型コロナウイルスが収束したとしても感染症や自然災害は定期的に起こるので、これから私たちが考えるべきは「いかに付加価値のあるインバウンドビジネスを提供できるか」だと思っています。

例えば街全体をリゾート地として「点じゃなくて面で売る」という方法が、必要じゃないかと考えています。これは我々一社でできることではありませんが、これまでのように「リゾートホテルを予約してそこに泊まり、飲食店を予約してその店で食事をして…」という点の旅行ではなく、地域の人やお店が協力し合って「まるで生活するように滞在する」体験ごと提供する旅のスタイルです。

今、GoToトラベルキャンペーンで一部の地域や高級ホテルには観光客が訪れていますが、一方で、その恩恵をあまり受けていないという地域や施設もあるようです。そういった課題も点ではなく面で売る観光に切り替えていけば、解決するんじゃないでしょうか。

それぞれで役割分担をし、贅沢ではないけどオシャレで文化の香る地域として街全体でおもてなしができれば、他にない「わざわざ飛行機に乗って訪れる価値ある街」になれるのではと思います。

これからはIT活用による「リアリティのあるタビマエ情報」の発信

街全体を観光地化するというのは「タビナカ」の話ですが、「タビマエ」に関してはコロナ禍で加速したIT活用が大いに役立ちます。これまでは旅行前の情報収集と言えば、パンフレットや雑誌、ネット上でも静的なものがほとんどでしたが、オンライン会議やオンラインセミナーが浸透した今、事前に価値を伝える手段としてオンラインを活用することができます。

これまで海外旅行や国際観光はどんなに検索機能や口コミがあっても違いが分かりにくく、どうしても安いプランを選んでしまいがちでしたが、オンラインや動画の力を使えば「金額は高いけど、こういう理由があるんだよ」「こういう価値を体験できるよ」ということをWEB上で伝えることができ、より具体的に旅行商品の価値を発信しやすくなるでしょう。

また、ITのメリットは距離が関係なくなることはもちろん、規模も関係なくなることがあります。昔々電話しかなかった頃は、新聞やテレビなどで広告を打っても電話に対応するオペレーターの数で予約件数が決まっていました。ですがオンラインならサーバーの容量がもつ限り、オペレーターがいなくても取りたいだけ予約をとることができるんです。

コロナ禍を機に、オンラインバスツアーのようなWEB上で旅が完結する仕組みなども出てきました。弊社も今後オンライン体験型のオモシロ商品を検討しています。

今回の「ResorTech Okinawa おきなわ国際IT見本市 2020」は、2回目の開催かつ今一番打撃を受けている「旅」をテーマとした「ツーリズムEXPOジャパン2020 旅の祭典 in 沖縄」と同時開催です。これだけの規模のイベントは新型コロナウイルス発生以来、初めてとなりますので、安全対策に気を付けながら、様々な展示・商談を通して出展者も来場者も双方に化学反応を起こして欲しいなと思います。ウィズ&アフターコロナに向けて、目の前の事象への対応だけでなく、適応・進化するきっかけとなる場になることを期待しています。

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